『地べたから考えるーー世界はそこだけじゃないから』ブレイディみかこ著(ちくまQブックス)
ブレイディさんの著書のタイトル『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、あらゆるノンフィクションを横断したなかでも、珠玉だと思っている。息子さんが書いた言葉だそうだが、いつもタイトルと見出しを提出するときには「苦手で……」と添えてしまう小心者ライターからすれば、嫉妬しちゃう言葉センスである。今回の著作のタイトルは、万人にうまい!と刺さるのとは違うかもしれないが、今の私の心臓にはぶすりと刺さった。そうそう、私は、地べたから考える人でありたいの。
過去のエッセイのアンソロジーで、8年間に書かれものが並ぶ。「一時代」ともいえない短期間ともいえるかもしれないが、背景はさまざま。でも、いつも地べたからの視座で考える著者の眼差しには、共感するし、なるほど〜と世界のことをちょっと垣間見た気にさせてくれる。日本とイギリスの比較も興味深い。最近、わりと近いところを見ていても、お金儲けが上手な人はどんどん上手に稼ぐし、軽々と「いいもの」を求めて移動するし、そうでない人は……と感じることが多くてもやる自分の気持ちにも、少なからず説明する言葉をくれている気がする。